青春の丘のエレベーター棟ってなんのこと?:ジブリパーク予想①
第5回目の投稿はジブリパークについてです。
2022年秋に愛知県の愛•地球博記念公園内に「ジブリパーク」がオープンします。
これまでにジブリパークには5つのエリアがあり、歴代のジブリ映画の世界観が味わえるような施設になることが発表されていました。
先日、2020年2月6日(木)に、その詳しい展示内容が新たに発表されました。
2022年は「青春の丘エリア」、「ジブリの大倉庫エリア」、「どんどこ森エリア」の3つが開業予定だそうです。
今回は「青春の丘のエリア」について取り上げます。
ジブリパーク北入口側に位置する「青春の丘エリア」は、来場者を迎え、“ジブリの世界”へと導いてくれる場所だ。その入口付近には、既存のエレベーター棟を映画『ハウルの動く城』などのジブリ作品に代表される、19世紀末の空想科学的要素を採用した内外装へ改装し、メインゲートとしての象徴性を持たせる。
また、平成初めの住宅地を整備イメージとして掲げ、映画『耳をすませば』の「地球屋」や、映画『猫の恩返し』に登場する「猫の事務所」を再現した施設も整備していく。
©Studio Ghibli
どこのサイトをみてもこの程度のことしか書いてないし、公開されているスケッチも詳しく書き込まれているわけではなく、イメージを膨らませるには難しいですね。
唯一具体的なイメージは、19世期末の空想科学的なエレベーター塔があるというくらいです。
では、このエレベーター棟について考えていきます。
https://www.pref.aichi.jp/uploaded/life/271598_953576_misc.pdf
こちらは愛知県庁の公式サイトから、発表されているジブリパークの概要です。
先ほど載せた説明文には、
『ハウルの動く城』などのジブリ作品に代表される、19世紀末の空想科学的要素を採用した〜
と書いてありますが、愛知県庁の公式発表にはどこにも『ハウルの動く城』の文字がありません。
おそらくこれは、メディアが19世期末の空想科学では大衆が具体的なイメージを持つことが出来ないと判断し、勝手に付け加えた情報だと思います。
しかし、私はこれはメディアのミスであり、本当のモチーフは『ハウルの動く城』ではないと思っています。
たしかに『ハウルの動く城』は、19世期が舞台となっていると言われていますし、魔法と科学が混在する世界観のため、19世期末の空想科学と言われてメディアが『ハウルの動く城』を挙げるのも無理はないかと思います。
しかし、はっきりと空想科学と書いてあります。
空想科学は言い換えるともちろんSFのことです。
ロバート・A・ハインラインは、「読むことのできる大半のサイエンス・フィクションの手軽で簡潔な定義は、過去や現在の現実社会や、科学的手法の性質と重要性の十分な知識に基づいた、可能な未来の出来事に関する現実的な推測」と述べた。ロッド・サーリングは「ファンタジーは不可能な事を起こりそうに描いたもの、サイエンス・フィクションは起こりそうも無い事を起こりそうに描いたもの」と述べた。
この文章はWikipediaのSFの定義という項目から引用してきました。
このようにSFとファンタジーはしっかりと2分されているのです。
つまり、ジブリパークの説明に19世期末をモデルにしたファンタジー的要素を採用と書いてあれば『ハウルの動く城』のことで間違い無いと思いますが、19世期末の「空想科学」と書いてあることから別の作品をモチーフにしていることがわかります。
ではその作品とはなんでしょう。
それは『天空の城ラピュタ』です。
https://www.amazon.co.jp/天空の城ラピュタ-DVD-宮崎駿/dp/B00K72NG0M
あまり知られていませんが、『天空の城ラピュタ』は19世期末の空想科学を描いた作品です。
どの辺りから、19世期末だと読み取れるかというと、パズーが住んでいる炭鉱です。
石炭が一番主流だった時代は、第一次産業革命の時代です。
産業革命は18世紀半ばから19世紀頃です。
そして作中の親方達の会話で、もう石炭が取れなくなっていることが分かります。
つまり第一次産業革命が終わってしまっている時代、おそらく第二次産業革命の時代だと思われます。
第二次産業革命は19世期末です。
おおよそですが、炭鉱の様子からラピュタの時代設定が19世期末ということが分かります。
では、あと1つ、
ラピュタが空想科学を描いた話だということが分かれば、ジブリパーク青春の丘のエレベーター棟が『天空の城ラピュタ』をモチーフにしていると言えるでしょう。
というか、これは作中内で何度もムスカが言っているため、考えるまでもありません。
「ラピュタはかつて恐るべき科学力で天空にあり、全地上を支配した恐怖の帝国だったのだ」
この2つは作中のムスカのセリフです。
ちゃんと科学の話だと宣言しているのです。
ラピュタで起こる現象は、一見魔法のように見えますが、ラピュタの科学力によってもたらされる科学的な現象です。
上で引用した、SFの定義の「起こりそうも無いことを、起こりそうに書いた」という部分に見事に当てはまります。
これで『天空の城ラピュタ』が19世期末の空想科学を描いている作品ということが分かりました。
まとめです。
以上より、ジブリパークの青春の丘にあるエレベーター棟のモチーフは『ハウルの動く城』ではなく、『天空の城ラピュタ』をモチーフにしていることが分かります。
なぜ、ジブリ側がラピュタという言葉を使わなかったかは謎です。
今の私には分かりません。
ジブリパーク関係者の方がいたら教えてください。
気になります。
次回は青春の丘以外のエリアについても考えていこうと思います。